sweeteden
日々まったりマイマイ☆

いつか、また一緒に。                 
めりくりー!
むりやりMerry Chirstmas!

いやー、Bitter,まにあわなんだw
いまも書いてはいるんだけど、びみょうー;
が、がんばるあるよ!

そんなこんなで、ひとまずいまさら?w
ツイッターで更新してたクリスマスSS、のせときます。
そのまま、転載なので、いずれOSEのほうにUPするときは加筆修正するとおもいます(いろいろ書き足りなかったので)

てなわけで!
つぎは新年だわ!


 


『いつか、また』



 暖炉の火が爆ぜる音にソファーで転寝をしていたイーノスは目を開けた。
室内を照らすのは赤い火の色だけだ。他は暗く窓の外は雪の色さえ見えない夜の帳がおりていた。
イーノスは起きあがることもせずに暗い夜を眺めていた。
「起きたのか」
ゆらりと天井が揺れる。否、暖炉の火に映し出されていた長い影が揺れただけだ。そうして影はイーノスを覗き込んだ。
「イアン……。いま何時?」
「零時を過ぎたよ。メリークリスマス、イーノス」 
イアンは柔らかい笑みをたたえている。
「メリークリスマス、イアン」
傍らに腰を下ろした自分とそっくり同じ顔を持つ片割れに微笑みながら身体を起こした。
ソファーにもたれるかわりにイアンの肩に頭をもたれさせる。
「プレゼントたくさんあった?」
「あったよ」
触れた部分から伝わってくる温もりと、声の響き。同じ顔、同じ声。
だけれども幼い日、見分けがつかなかったころとは違う。
今は双子ということがわかったとしても区別はつくだろう。イーノスは触れたイアンの身体の筋肉質さが、寂しかった。
昔ならばすべて一緒だったのに。
今は日に日に、歳を重ねるごとに別の人間なのだとはっきりしていく。
幼さをいまだ手放せずにいる自分と違い、イアンはあらゆる力を手に入れるべく鍛練を続けているのだ。
同じ顔であるのに鋭い眼光と他を圧倒するようなオーラをまとう片割れが遠く感じる。
いつからこうなってしまったんだろうか。
過去へと想いを馳せるイーノスの目の前にイアンが手をもってきた。その手には丸いチョコレート。
「俺からのクリスマスプレゼント」
そう言って指でつまんだそれを口に充てられる。甘い香りにふと笑みをこぼしながらイーノスは唇を開けた。
そっと口の中に押し込まれたチョコレートを噛み砕く。中身はナッツ入りのガナッシュで食べながらイーノスは頬を緩めた。
「おいしい」
「だろ?」
「甘いもの大好き」
とろける甘さにイーノスは目を細める。暖炉の火に照らされただけの室内は過去を思い出すのにはちょうどよい暗さだ。
「よく食べてたよね」
「ああ」
「あんまり食べすぎるとエメリナに虫歯になるって怒られて」
「……」
「どうしても食べたいって拗ねるとマリーが頭を撫でて最後よって一つくれて」
「……」
「おいしかったなぁ」
懐かしい思いで。胸に去来するのは温かさと―――痛み。
姉であり母であった二人の少女。闇でしかないはずのオセの家において、確かに双子の家族であった二人の少女。
自分たち二人だけ身を寄り添いながら生きるしかないと思っていた双子にとってあの二人の存在はどれほどの救いとなっただろう。
「また、たべたいなぁ」
「……食べれる」
冷たく、だけれども凛としたイアンの言葉にイーノスは我にかえる。
意志の強さを秘めた声に郷愁に杭が打たれたような痛みを感じながらイアンを見た。自分と瓜二つ鮮やかなサファイアの瞳に映るのは橙色の炎。
「約束しただろう。エメリナと」
マリーを独りにしないと。ずっと一緒だと。
「いつかマリーを迎えに行こう。そしてエメリナの故郷に行くんだ。エメリナの家族に会おう。たくさんのお菓子を持ってってあげよう、エメリナの妹弟達に」
イアンの言葉はまるで夢物語のようだ。
いつか、いつか。
それを求めこの片割れが"力"を手に入れようとしているのを知っている。
そんな片割れに―――弟に、なにを自分は言ってやれるのだろうか。
彼の少女の死と、風の噂で伝わってくるオセの家に残った少女の噂は年々イアンの心を蝕んでいるような気がする。
あの日々が幸福すぎたから。だから、しょうがないのだろうか。
「……イアン」
自分が弟に出来るのは何か。
「ぼくはずっとイアンと一緒にいるよ」
ただそれだけ。
イーノスは微笑んでまたイアンの肩に頭を預けた。そしてそっと目を閉じる。
イアンはなにも言わなかった。
ただ静かな空気だけが流れる。
暖炉の火の爆ぜる音を聴きながらしばらくしてイアンの口元から安らかな寝息がこぼれる。
「……イーノス、寝たのか?」
「………」
そっとイアンが動き、イーノスを抱えあげた。ベッドまで運び、寝かせる。
あどけない寝顔を眺め、どれくらいしてからかイアンは部屋を出ていった。
扉が静かに閉まる音、それとともに目を開くイーノス。
イアンが出かけた先を思い憂う。
あの少女を失ったとき、あのあと双子を引きとったオーレリア夫人。
最初は"客"であった夫人が"母"となろうとし、だがいま夫人はイアンに"恋"をしている。
いつからだろうイアンがそうするために動きだしたのは。
イーノスは暗く沈みそうになる想いをとりはらうように首を振った。
ベッドから降り、バルコニーへと出る。月は雲に覆われ昏い空からは白い雪が舞う。
彼の凛とした少女はあの空の向こうにいるのだろうか。彼の愛らしい少女は同じ空を見ているだろうか。
イーノスは祈るように手すりに肘をついた。
願うだけしか、祈るだけしかできないけれど。
「イアンとマリーに祝福を」
―――二人を見守ってあげて、エメリナ。
胸の内でいまは亡き少女に囁く。
イーノスは指先が凍てつくほど長い間バルコニーに佇み、天を仰ぎ続けていた。

 

 


***

 

 

天蓋つきの大きなベッドに対になり目を閉じ安らかな寝息を立てている瓜二つの少年。
そこへゆっくりと近づいてきた夫人は寝顔であれば見分けがつかない二人に微笑をこぼす。
そしてそっとその頭をなで、ふたりの間にひとつの包みを置いた。
甘い香りを封じたお菓子の箱と、一通の手紙。
『イアン、イーノスへ』
流れるような美しい文字で書かれた手紙。
差出人はマリアーヌ。
目が覚め、手紙を読んだときの双子の笑顔を想像しながら夫人は静かに部屋を辞した。

 

『イアン、イーノス。―――Merry Chirstmas!』

 


おわり☆
 

: ちょこっと小説。 : comments(0) : - : posted by 紅葉ひろ :
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