sweeteden
日々まったりマイマイ☆

月の灯り −3−                 
いつぶり?
一年以上ブリ大根(寒)
いやーOSEが、なんか書けなくって、でもなんか書きたくって書いちゃいました。
まだ迷いはいろいろとあるものの(何)
ていうか、プロットたてたメモ用紙、、、いったいどこにいっちゃったんだろう;
とりあえず、久しぶりに書いて思ったこと、、、
なんかかなりド暗いっていうか、イタイ話しになりそうなヨカン;
が、がんばろ。


第1話はこちら読書
第2話はこちら読書
第3話は続きを読むからどうぞ。
『月の灯り 第3話』







「なーお。はい、これこの前言ってたテキスト」
 ポンと置かれた参考書に奈緒は顔を上げて笑顔を浮かべた。
「みーちゃんアリガト」
 クラスメイトであり親友の五十嵐美玖は前の席に座りながら奈緒の手元を覗き込む。
 机に広げられているのは英語の問題集や教科書。
 いまは昼休み。教室は騒がしく、それぞれが売店へ向かったり、お弁当を広げたりしている。
「がんばるねぇ」
 美玖は紙パックのオレンジジュースにストローを刺しながら言った。
「そうかな? だってさ、がんばって勉強しなきゃおいつかないもん!」
 学校の休み時間、トイレに行く以外を奈緒はほとんど勉強に費やしていた。
 奈緒は今高校二年。できるだけ成績は上位をキープしていたい。
 それは受験のため、そして奨学金を狙っているからだ。
 一時期就職を考えていたこともあったが、奈緒には夢があり、家族もみんな応援している。
 だから、家族に負担のかからない形で進学をしたい。
 そのためにできることはなんでもしよう。
 そう思って毎日勉学に励んでいる。
 予備校に通っている美玖から参考書や、勉強を教えてもらったりしながら。
「十分じゃない? こないだの中間テストだって学年5位だったじゃない。ていうかさ、たまには休みなよ?」
 心配そうに美玖が首を傾げる。そして机の片隅に出しっぱなしにされている奈緒のお弁当バッグからお弁当を取り出す。
「ありがと」
 ようやく奈緒は参考書からお弁当へと視線を移した。
 母が作ってくれたお弁当。大切に食べなければ、と手を合わせる。
「奈緒、ちゃんと寝てる?」
 今朝味見した卵焼きを頬張っていると、美玖がまだも心配そうに問いかけてくる。
「んー、寝てるよー。ちゃんと5時間は睡眠時間とるようにしてるもん」
「奈緒の場合、もっと寝ていい」
 美玖は美人系の大人っぽい顔立ちをしている。そして性格もまた大人びている。
 だからか美玖と会話をしていると、まるで姉かなにかのような気がしてくるときがあった。
「みーちゃんは心配症だね」
 あっけらかんと奈緒が笑うと、美玖はため息をつく。
「心配にもなるよ。毎日バイトして、ずっと勉強して」
「楽しいよ? あ、このミートボール美味しい」
 出来合いのものでなく、ちゃんと手作りのミートボール。
 母親の味に頬が緩む。
「楽しいって。ほんと奈緒ってば……。今度気晴らしにカラオケでも行こう」
「んー。カラオケより、家来て一緒勉強しようよ」
 にこにこと返事をする奈緒。
「……なおー」
 美玖はもう何も言えない、とでもいうようにまたため息をついて自分のお弁当をつついた。
「みーちゃん」
「なに?」
「心配してくれてアリガト! でも、私ほんと大丈夫だよ。バイトも勉強も楽しいもん。自分のために家族のために、私頑張れるんだ」
「……そう」
 奈緒の笑顔は一点の曇りもない。
 真実、そう思っているのだろう。
 だからこそ、美玖が心配しているということを奈緒はわかっていなかった。
「なお、明日バイト休みだったよね? お菓子いっぱい持っていくから、一緒勉強しよっか」
「うんっ!」
 嬉しそうに頷く奈緒。
 素直で、純粋、そして頑固―――な親友に、美玖は少し切なげに目を細めた。
 






***







 昼食をとり終えて優斗は担当している客に電話を入れた。
 それぞれと少しづつ他愛のない会話をする。
 甘い言葉を囁き、会いに来てね、と電話を切る。
 金を落としていく女たちは、大切なお客様。
 面倒でもなんでも、こなさなければならない。店へと来てもらうように、指名してもらえるように。
 一通りの作業を終え、優斗は父親の入院する病院へと向かった。
 そのあとそのまま同伴予定だったため優斗の服装は普段着より派手目だ。
 ホストをしていることを看護師たちはわかっているから気にすることもないが、病院内ではやはり目立ってしまう。
 チラチラと視線を感じながら、病棟の受付で面会の受付をする。
 馴染みの看護婦と父親の様子を聞き、病室に向かった。
 ドアをノックして「俺」と声をかける。
 中から小さな返事が聞こえ、ドアを開けて入る。
 一人部屋の病室。
 消毒液臭い匂いの室内。点滴をしているやつれた男性、優斗の父親。
 まだ48歳だが、長い闘病生活で見た目は50半ばくらいに見える。
「どう?」
 ベッドの傍らに置かれたイスに腰掛け、声をかけた。
 父・正喜はわずかに笑顔を浮かべる。
「まぁまぁかな」
 そう言う顔色は悪い。
 治療がきついのか、身体をむしばむ病がきついのか。
 どちらもだろう。
「親父……」
 ぽつり呟く優斗。
 暗い表情の優斗に、正喜は穏やかな眼差しを向ける。
「大丈夫だ」
 その声は細い。だが、安心させるような強さがある。
 だから優斗は“いつも”いいかける言葉をぐっと飲み込む。
 そして話題を変えるように、笑顔で最近の日常を話しだした。
 それを静かな笑みで聴く正喜。




 正喜の病気は、肺癌。
 もう余命は長くなかった。
: 小説「月の灯り」 : comments(0) : - : posted by 紅葉ひろ :
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